ダブルヘッダーによる頭形状の加工|ねじの基礎知識講座|ねじJAPAN

Vol.8 ダブルヘッダーによる頭形状の加工

前回ダブルヘッダーで、ねじ下(ヘッダーブランク)を製造する説明をしましたが、仕上げ成形用の2番パンチで、色んな頭形状が作れます。(1番パンチは、2番パンチの形状に合わせて変わります。)


(図1 2番パンチの例)

図1の様に、2番パンチではドライバーが入る穴(ねじでは溝又はリセスと言います。)も同時に圧造します。「すりわり」とはマイナス溝のことです。

十字穴は普通のプラス溝、六角穴は工作機械類でよく見かけます。四角穴と言うのもあります。
また余談になりますが、+プラス溝と-マイナス溝のリセスのお話をします。
第二次世界大戦で日米の戦闘機の実戦投入量は日本軍の「ゼロ戦」10,000機に対し、米国軍の「B-29」は33,000機と言われています。
その物量の差は資源の差と思われていますが、実際は「ねじ回し」の違いの説があります。
「ゼロ戦」は昔ながらのマイナス溝を採用し、「B-29」にはプラス溝が採用されていたと言われています。
「十字穴」の名称でおなじみのプラス溝は、1933年米国フィリップス社で開発されました。
「十字穴」の場合は、ドライバーのアプローチが斜めになっても、容易に中心旋回が得られる構造です。
このことから、自動ねじ締め機による大量生産ラインが実現できたと言われています。「十字穴」は現在においても世界で最も普及している「ねじ回し」でもあります。

逆に当時の日本が採用していた、マイナス溝のねじ回しはドライバーを真っ直ぐ立てて慎重に回さないと、すぐにドライバーが外れてしまいます。粗悪なねじの場合は締結時にねじが固くなったりすると、マイナス溝が舐めてしまいます。こうなると締結できないまま外すことも容易ではありません。この生産性の差は歴然ですね。
「ねじ回し」一つ考えても、戦争の勝敗を決するほどの影響があると思うと、「ねじ」と言う機械要素は徒や疎かには出来ません。
手前味噌ながら、日本で初めて「十字穴付きねじ」を国産化したのは、螢筌泪轡福陛時は蟷害弊差所)です。




(図2 頭形状の例)

また主な頭形状は図2の様になっています。
ゆっくり見ていくと、さら、なべ、チーズなど、宴会状態です。(笑)
これ以外にも、色々な頭形状がありますが、小ねじに使われる代表的な物を並べてみました。

さら頭「FLAT HEAD」
上の面が平らで円錐で軸と繋がっています。通常、円錐角度は90度で締めつける相手材に90度の座ぐり(切削する)をすれば、ねじを締めつけた後は頭が出っ張らず、フラットになります。

丸さら頭「OVAL HEAD」
上の面に丸みのついたさら頭のことです。と言います。

なべ頭「PAN HEAD」
すり割りや十字穴がさら頭より深く、なべ底の形をしてヘッダーで形状が容易に出ます。

丸頭「ROUND HEAD」
最も一般的で使用例多い丸頭は、半円球に近い形です。

バインド頭「BINDING HEAD」
上面に丸みがついた大きい径の頭です。

トラス頭「TRUSS HEAD」
情報機器に使用例多く、頭径が大きく高さは比較的低いです。

ブレジャ頭「BRAZIER HEAD」
家電製品に使用例が多いブレジャ頭は、丸頭とトラス頭の中間形状でM3サイズに使用例が多いです。

チーズ頭「CHEESE HEAD」
平頭の側面に傾斜をつけたタイプで、酪農家が作るチーズの塊に似ています。十字穴が深く出ます。

平頭「CYLINDER HEAD」
すり割り付きが多い平頭は、高さの低い円筒形の頭。

丸平頭「OVAL FILLISTER HEAD」または「FILLISTER HEAD」
相手材に頭径より少し大きい座ぐりをすると、締めつけた後、頭が出っ張らず見栄えも良く、平頭の上に丸みをつけた形状です。

六角頭「HEXAGON HEAD」・四角頭「SQUAER HEAD」
いわゆる外周の対辺を利用してレンチやスパナで大きい力が伝達できます。すり割りや十字穴などの溝がついた物もあります。六角頭は工業用途に、四角頭は住宅などの木材用に使われる場合が多いです。