ボルトの塑性変形にゆるみについて

ボルトのゆるみ要素の中で、ボルトのしめすぎによるゆるみ(ボルトの塑性変形の進行)があると思いますが、いまいちメカニズムが良くわかりません。塑性域締め付けとはどのように異なるのでしょうか?また、塑性変形の進行でゆるむのならボルトは必ず折れるような気もするのですが、折れ以外のゆるみは考えられるのでしょうか?
よろしくお願いします。

ねじユーザー企業(技術者)

[回答]ボルトの塑性変形

本来,ねじ締結体のメンバー(ボルト,ナット,被締結部材)はすべて弾性域内の応力下でなければ締結は成立しないものです。
例えばM6の鋼ボルトでおよそ40mmの厚さの鋼板を締付けた締結体の例を考えてみましょう。ボルトのばね常数は146N/μmになります。たいへん剛いばねなのです。
つまりボルトが過剰に締め付けられてボルトの引張り応力が弾性域にであれば,そのボルト締結体に引張り方向の外力が150N作用しても,およそ1/1000mm弾性伸びが増えるだけで済みます。
もし,ボルトの締付け応力が塑性域に達していたら,その伸び量は弾性伸びの数十倍か,それ以上になるでしょう。ぼるとが0.1mm塑性伸びを増加させるとボルトの締付け力は1.5kNも失うことになります。
塑性域締付けとは,締付けのときボルトの応力が塑性域に達したことをコンピューターで検知して締付けをストップするのですが,その応力はボルトの引張り応力だけでなくねじりせん断応力との合計(等価応力と呼ぶ)がボルトの降伏応力(あるいは耐力)に達したことを検知して付けを止めます。しかし,ねじ締結体に外力が作用したとたんに,そのせん断応力は弾性回復(ねじり応力はなくなって)して,ボルトの引張り応力は弾性域に戻っているのです。
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選択無し 2004-07-21 00:00:00

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