No.294 [ねじの学び舎]伸びボルト|ねじJAPANニュース(メールマガジン)|ねじJAPAN

No.294|ねじJAPANニュース(メールマガジン)

このページでは、メールマガジン「ねじJAPANニュース」の過去記事を一部抜粋して紹介しています。掲載されている情報は配信当時のものです。

[ねじの学び舎]伸びボルト

先週に続き自動車業界の話を1つ。
ちょうど今から1ヶ月前、日産は国内工場・米工場が操業停止になる状況に追い込まれました。
その原因は、部品供給の遅延。
この出来事から見える自動車業界の現状が次の記事で紹介されていました。

日産が部品不足で工場休止 「系列外」取引に浮かぶ明暗

というわけで、今回も「ねじJAPANニュース」をお届けします。

ねじの学び舎

質問:伸びボルト

伸びボルトというボルトがあるとの事ですが、何処か取り扱っているメーカー教えて下さい。

回答

塑性域締結を目的としたボルトであれば、たいていのところで製作は可能だと思います。
もちろんサンノハシでも作ってはいますが。
でもその前に、使い方の検証が必要です。
塑性域締結のためのボルトであれば、塑性域締めを行わなければ意味がないです。
塑性域締めではトルク勾配法、回転角法が使用されます。
メリットは、締め付け時の軸力のバラツキがトルク法(弾性域の締め付け)にたいして一般に小さくなることです。
又耐力以上の軸力を発生させるのでボルトの強度を100%生かす事が出来ます。
その反面、過大入力に対する余裕が小さくなります。
締め付け条件は実験確認後に決定する必要があるでしょう。
又一度はずしたボルトの再利用にも回数制限が付き(ひどいときは使い捨て!)又締め付けの道具も高価になりがちです。
大量生産のラインなどでは見かけますが、被締結物の表面摩擦が変わると締め付け特性が激変するため、一般の用途には向かないでしょう。

編集後記

口コミ VS コンサルティング力

★首位交代
首位交代・・・僅差で競り合っているプロ野球のことではありません。
グルメサイトの分野です。
グルメサイトの分野でこれまで首位を走っていたのは「ぐるナビ」です。
しかし、各種調査によると「食べログ」が訪問者数で上回ったようです。(1)
さて、同じグルメサイトの分野で競争してはいますが、この2つのサイトはその取り組み方を見ると違いが目立ちます。
今回はこの2つのサイトの違いについてご紹介したいと思います。

★「ぐるナビ」とは?
1996年に立ち上げられたグルメサイト「ぐるナビ」は、今では、登録店舗数が約5万店を数えます。
運営会社の株式会社ぐるなびは、売上高約241億円、従業員数約1,600人。
2008年には東証一部に上場している巨大企業です。(2)
サイト「ぐるナビ」は、飲食店側が主な情報発信源で期間限定のメニューやプラン、割引クーポンなどが掲載されています。
主な売上は基本的なプランの場合月額5万円になる飲食店が支払うサイト「ぐるナビ」への掲載料です。

★「食べログ」とは?
対するグルメサイト「食べログ」の運営会社は、家電製品の口コミサイト「価格.com」を運営していることで有名な株式会社カカクコムです。
株式会社カカクコムがグルメサイト「食べログ」をスタートしたのは、「ぐるナビ」から遅れること9年、2005年です。(3)
サイト「食べログ」は、飲食店に対するお客様の口コミ投稿でサイトが構成されています。
サイト「食べログ」の、主な売上は広告収入です。
そのため、店舗情報の掲載料は基本的に無料です。
7000店舗ほどが利用している有料機能の料金も5,000円です。(3)
「ぐるナビ」と比べると随分リーズナブルな金額です。

★2つのサイトを比較すると
つまり、口コミ+広告収入で攻めているのが「食べログ」。
掲載店舗への利用料で走っているのが「ぐるナビ」です。
掲載料を無料にし広告によって収入を得る。
基本機能は無料で一部のプレミアム機能を有料にする。
このような食べログの取り組みは、以前紹介した「無料経済、フリーミアム」の考え方そのものと言えます。
それに対して、掲載すること自体から収入を得る「ぐるナビの」考え方は、ある意味、紙媒体の「飲食店ガイドブック」的な発想の延長と言えます。

★「食べログ」は「ぐるナビ」の15.5倍
さて、冒頭に紹介したように、グルメサイトの首位を走っていた「ぐるナビ」を9年遅れでスタートした「食べログ」が訪問者数で追い抜きました。
実際に検索キーワード回数を調べると、「食べログ」というキーワードは、「ぐるナビ」の15.5倍検索されています。
※Googleトレンドで2010年の期間を比較
取り組み方の違う2つのサイトですが、事業基盤がWebサイト経由の集客力のため、今後の「ぐるナビ」はどうなるのかが気になるところです。
しかし、その「ぐるナビ」には「食べログ」には無い強みがあります。

★「ぐるナビ」にあって、「食べログ」に無いもの
「ぐるナビ」の強みは、「AE(Account Executive)型営業」と自称しているFace to Faceのサービスです。
AE(Account Executive)型営業について、決算資料では次のように説明されていました。
>ぐるナビのAEとは「店の売り上げを上げ、利益を上げるための情報提供・ノウハウ提供など、提案型営業を行い、オーナー・店長から信頼、頼りにされる存在。」
>具体的には、集客・販売促進、外販支援(テイクアウト、お土産、デリバリー等)、メニュー開発・新しい食材の情報提供、人材採用支援、その他店舗経営の全領域(1)
つまり、「ぐるナビ」はサイトによる集客に加え、自社営業マンによる飲食店へのコンサルティングも含めたサービスへと変化しようとしているのです。
この点は、サイトと飲食店の関係をWeb上で完結しようとしている「食べログ」には無いサービスであり強みと言えます。
※補足
「ぐるナビ」には、飲食店の販売促進ノウハウを学べるセミナーを開催している「ぐるナビ大学」という面白いサービスもあります。(http://daigaku.gnavi.co.jp/index.html)

★次号は「食べログ」も始めた新しいインターネットサービスを紹介
さて、同じグルメサイトの分野で競い合っている2つのサイト。
取り組み方(ビジネスモデル)が異なっているだけに強みも違います。
今後、ますます熱い戦いが繰り広げられそうです。
さて「食べログ」は、新たなインターネットサービスとして話題を集めているサービスを最近スタートしました。そのサービスとは何か?次号はその点を紹介したいと思います。

参考
(1)グルメサイト戦争! 口コミパワーで食べログが首位奪取、王座陥落のぐるなび
(2)株式会社ぐるなび 2010年3月期 決算説明会資料
(3)株式会社カカクコム 2010年3月期 決算説明資料

2010/09/13配信