No.288 [ねじの学び舎]ゆるみ止めに関して|ねじJAPANニュース(メールマガジン)|ねじJAPAN

No.288|ねじJAPANニュース(メールマガジン)

このページでは、メールマガジン「ねじJAPANニュース」の過去記事を一部抜粋して紹介しています。掲載されている情報は配信当時のものです。

[ねじの学び舎]ゆるみ止めに関して

みなさん、こんにちは!
小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」でサンプル採取し地球へ帰還するという一大ミッションを終えて、約7年ぶりに地球へ帰還しました。
JAXAがこのミッションを説明する動画をYouTubeで公開しています。
興味のある方はご覧になってください。

はやぶさの大いなる挑戦!! 世界初の小惑星サンプルリターン

というわけで、今回も「ねじJAPANニュース」をお届けします。

ねじの学び舎

質問:ゆるみ止めに関して

私どもの装置では、六角穴付止めネジを調整で使用し、終了すれば、ネジロックで固定しています。
昔(12~3年前)展示会で、止めネジのネジ部に青いネジロック用のものが塗られていて、セルフロックも可能(振動周波数によってはだめ)というもを見ました。
その当時、サンプルで持ち帰り、実験した結果はネジロック不要で「GOOD」でした。
最近になって使用しようとメーカを探していますが、見つかりません。
もし御存知ならば教えて下さい。
また、それ以外でもネジロック付の止めネジがあれば教えて下さい。
当方M3X6~8の六角穴付止めネジ(丸先)を使用しています。

回答

雄ネジに最初から塗布されている緩み止めは、色々と有りますが、基本的には接着材系と樹脂系(ナイロンなど)の2種類に分類されます。
代表的な物はナイロン系は日本ナイロック社の「ナイロック」接着材系はスリーボンド社の「スリーロック」です。
但し接着材系には色々なグレードが多数有りますので、使用される前に打ち合わせが必要です(耐久温度など)

編集後記

電子化で書籍や新聞は安くなるのか?

先号から紹介しているiPad。
今回は「電子書籍になれば価格はどれくらい下がるのか」「電子新聞は日本で広がるのか」を中心に考えたいと思います。

★本のコスト構造を分析すると見えるもの
電子書籍の価格を考える前に、1冊の本にかかるコスト構造を分析したいと思います。
サイト「Business Media 誠」の「電子書籍はキャズムを超えられるか?――iPodに学ぶ普及への道」では、1冊の本のコストが下記のように分析されていました。(1)

印税:7~10%・・・出版社が著者へ支払う対価。
外部委託費:15%・・・デザイン料、紙代・印刷代
流通費用:33%・・・出版取次会社、書店取り分
出版社取り分:42%・・・編集・営業費用

上記の中で電子書籍で削減できる費用は外部委託費と流通費用です。
しかし、Apple社のソフト配信サイト「App Store」経由で電子書籍を販売すると、販売価格の30%をApple社に支払います。
そのため、流通費用はほぼ同じになります。

削減できるもう一つのコストは、15%の外部委託費です。
この外部委託費で中で紙代・印刷代は10%を占め、残りの5%はデザイン料などで占められると言われています。
結果、印税と出版社の取り分の金額が変わらない場合、削減できるコストはこの紙代・印刷代の10%という結論になります。
こう分析するとApple社が電子書籍販売の取り分をこれまでと同じく30%とするのか、それとも今後値下げるかが電子書籍の価格を左右することが分かります。

しかし、「App Store」経由ではなく、独自アプリ内で課金という別の方法にすれば、Appleに支払う価格の30%を占める費用を削減することができます。
実際に日本電子書籍出版社協会は、iPhone・iPad用に電子書籍を閲覧できる無料アプリケーションを配布し、このアプリケーション経由で電子書籍をダウンロード販売すると発表しています。(2)
そのため、取り組み次第によっては、10%以上価格が抑えられる可能性も見えてきます。

★電子新聞の価格は?
次に電子新聞は日本で広がりを見せるのでしょうか?
新聞社が電子化にどう向き合っているのかを探る点で面白い出来事があります。
日本経済新聞社は、3月から日本経済新聞社電子版を創刊しました。
しかし、電子版の価格は紙の新聞より競争力のある価格ではありませんでした。
電子版単独の購買料は紙の新聞購読料とほぼおなじの月額4,000円。
ここに新聞社のジレンマを感じます。

多くの大手新聞社は自社の印刷工場を保有しています。
紙媒体の新聞購読者が電子版にかなり多くの割合で切り替えない限りこの印刷工場の整理統合は困難だと思います。
つまり、現在の新聞購読者の一部の層が電子版に切り替えても、印刷工場を維持する固定費はあまり変わらず大きなコスト削減にはなりません。
それに加えて新聞社は、販売収入7:広告収入3と言われるほど販売収入に依存しています。
つまり、販売価格(単価)の低い電子新聞を推し進めることは、収入の大きな柱を押し下げることを意味します。

結果、紙媒体の読者へ新聞を届けるため印刷工場の固定費は変わらず、売上だけが下がる。
新聞社にとっては頭の痛い話しです。
電子化が時代の流れであることは分かっても、足元を見るとそれはできない。
こんなジレンマを新聞社は抱えているのではないでしょうか。

こう分析すると日本での電子新聞は日本経済新聞社電子版と同じように今までの購読料とほとんど変わらない値段で販売されると予想できます。
考えるべきなのは、紙で新聞を購読しなかった層が電子化されたという理由だけで同じ値段を支払い新聞購読者になるのか・・・?という点です。
紙の新聞と変わらない価格設定ではiPadなどの端末が普及しても電子新聞は広がりを見せないように感じます。

★電子書籍・電子新聞の本格普及には
さて、今回の編集後記では紙媒体との価格比較の話が中心となりました。
しかし、電子書籍が普及するには、紙媒体と比べて単に安いという視点だけでなく、電子書籍でしか出来ないことで消費者をどれほど惹きつけることができるか。
結局は、この点が普及するスピードを左右する重要な要素だと思います。

★文献サイト
(1)電子書籍はキャズムを超えられるか?――iPodに学ぶ普及への道
(2)電子書籍:アプリケーション無料提供…出版社協会

2010/06/21配信