このページでは、メールマガジン「ねじJAPANニュース」の過去記事を一部抜粋して紹介しています。掲載されている情報は配信当時のものです。
ネジには細目や極細目がありますが、一体どのような役割とメリットがあるのですか。
また、大きいサイズでは、雄ネジに対して並目ネジよりガタつきは大きく減るものなのでしょうか。
個人的には、緩み止めとガタつきを減らすためにあると思っていましたが・・・。
主目的は緩み止めです。
ねじの有効径にπ(パイ)をかけ算した値を底辺に、ねじにピッチを高さにした直角三角形を書いてください。
ここでできた角度をリード角といいます。
細目ねじの方がピッチが小さいので、このリード角が並目ねじより小さくなります。
この三角形を坂に例えれば、傾きが緩いほど荷物が滑り落ちづらい、すなわち緩みづらいという理屈です。
ねじのガタについては並目細目に関係なくJISで定められた等級で規定されます。
(4H・4h・6gなどです。
古い規格では、1級・2級・3級などでしたが)細目が使用される目的は、一般的に緩み止めと強度向上でです。
・緩み止め
並目よりピッチが小さいため、リード角が寝てきます。
これにより、ねじに加わる軸力の回転方向(ねじ山を滑り落ちる方向)分力の比率が小さくなるため、緩み難いとされているようです。
・強度向上
ねじのピッチが小さい=ねじの谷底が浅い。(有効断面積が大きい)同一強度区分の同一呼び径のボルトではボルト一本当たりの保証荷重が大きくなります。
自動車のエンジンなどの限られたスペースで大荷重を支えるには必要不可欠なアイテムといえるでしょう。
但し、雌ねじ側の材質が、鋳物などの脆い物ですと、雌ねじが立ちにくい(雌ねじの山のてっぺんがかけやすい)為、ねじ山の引っかかり率が減少し雌ねじが抜ける(ねじ山の剪断破壊)事があります。
また、一般に流通していないために入手が困難ですね。
先回から始まった「ねじの学び舎」ですが、いかがでしょうか?
ねじについて学ぶということは、ねじに加わる力学計算の世界をはじめ、材質、切削・鍛造などの金属加工、表面処理、熱処理まで幅広い知識が必要です。
一見すると簡単に思える1本のねじに、奥深い世界があるのだと、つくづく感じるこのごろです。
2007/12/10配信