ストーバータイプの緩み止めナットを締付ける際に、締付け工具の違いによって焼付きの発生頻度が著しく異なっています。具体的には、インパクトレンチで締めた場合はOKで、ナットランナーで締めた場合はNGの比率が大幅に増加します。(インパクトレンチはトルクリミッター付きのオイルパルスタイプです。)ナットに対する回転方向の駆動力の与え方が、異なることが原因かと推測していますが、対策まで踏み込んだ解決策が見出せていません。差が出る原因(メカニズム)の特定と、対応策について、ご教示お願いします。
各仕様は下記の通りです。
ねじサイズ:M10×1.5
締付けトルク:45Nm
焼付き発生タイミング:ボルト/ナットが完全に組み合わされた後の締付け過程
ねじユーザー企業(技術者)
[回答]焼きつき
「ストーバータイプの緩み止めナット」が、どのようなナットか、私には知見がありませんが、一般的に下記が言えます。
インパクトは、名前のとおり衝撃力を発生させ、締めこむレンチです。締め付けを釘に例えると、小さな金槌で何回も叩いて釘を打ち込むタイプです。
一方ナットランナーは定常回転で締め上げ、適正トルクでシャットオフします。釘でいうと、ストローク調整つきの大きな金槌で一発で決めるようなものです。
ですから、締め付けのトルク精度は、はるかにインパクトより優れます。
ところが、定常回転であるがため、発生する摩擦熱は休む間もなく増幅され、焼きつきの温度にまで上昇します。一方インパクトは、「廻す、止まる」が焼きつきを「剥がす、とまる」の繰り返しになりますから、見かけ上、焼きつきがおきないように見えます。
焼きつきの原因は摩擦係数が異常に高まる場合に発生します。
我々の経験では、ピッチエラーでねじ込む場合に最も発生します。
これを対策することで焼きつきが皆無になったとの報告もあります。
正確なねじ込みを誘導するボルト構造が発案、実用されています。
お手助け出来るようであれば、kaihatu1@sannohashi.co.jp まで。
選択無し 2001-05-30 00:00:00
[回答]ナットランナースピード
焼きつきという現象は、摩擦発熱の式で下記Qを用います。
Q=μPV ここでμは摩擦係数、Pが面圧、Vは速度です。
ナットランナーの速度が速くなるとQは上昇します。
したがってナットランナーは低速がよいということになります。
実験であまり差が出ないとおっしゃるのは、きっと速度の変動差が少ないか、もしくはPかμがあまりに高く、速度の変動に関係なく発熱するのでしょう。
ちなみにカシメをしたナットでの不具合とのことですが、ナット屋さんは、通常カシメ部の初期トルクを慎重に管理したナットを供給するはずです。
不具合のおきた雄ねじ、雌ねじの組み合わせを切断し、切り離すときにカシメか、ねじか、どちらに食いつきがおきているか、慎重に調査されたほうが良いと思います。
選択無し 2001-05-30 00:00:00
[回答]焼け付き現象
ナットの緩み止め機構、材質、締結部材等の詳細が不明ですが、一般的な焼け付き現象について
回答します。焼け付きは特にステンレス鋼製のボルト・ナットの組み合わせの場合、締結条件によっては顕著に発生します。
これはステンレス鋼の物理的性質(軟鋼と比較して摩擦係数が大きい、熱伝導率が小さい、熱膨張係数が大きい)が主に起因していますが、これを助長する条件、例えば、被締結物にばね性があるとか、ホースバンドのねじのように偏荷重が加わるとかで締付トルクが不安定(高目)に成り易い条件下、または高回転・高推力・高トルク締結等の場合には、摩擦熱の発生が高くなり焼け付きの頻度も多くなることが予想されます。
対策としましては、ステンレス鋼自身の性質を変えることはできませんので、可能であれば異なった材質の組み合わせを選択するか、焼け付きを起こし易い条件を極力排除するかになりますが、締結条件を変更できない場合には、締結時の熱の発生を抑えるために表面処理を施して摩擦抵抗を下げる方法が一般的・有効策と考えます。(当社の焼け付き防止処理としては、『Mコート』があります。
今回の場合、インパクトレンチではOKでナットランナーでは頻繁に発生するとのことですが、最終の締付トルクが同じと仮定して、そこまでの過程においての熱の発生に違いがあると推測されます。例えば、ナットランナーの方が推力(=ねじ山にかかる面圧)が高い状態で回転力が与えられていることも考えられますが、断定はできません。
選択無し 2001-05-30 00:00:00
[回答]ナットのかじり対策
齧りの原因には色々考えられますが、ご質問の意図からして、潤滑等の問題以外に、締め付け工具による違いが問題となっていますが、 齧りのメカニズムの中で、面摩擦状態に影響するのは潤滑や、面の祖度、硬度の差。。。だけでなく、接触速度による動摩擦係数の変化と高周波振動による見かけ摩擦係数の軽減及びねじ面を叩くことによる齧り防止効果が今回のインパクトレンチ(高速回転、インパクトによる振動)とトルクランナー(低速、低インパクト振動)の差を生じているように拝察いたします。
ご参考までに当方のHPサイトも併せてご参照ください。
サイト:http://thanks22.cool.ne.jp/nac
選択無し 2002-11-23 00:00:00
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